migihanshin’s blog

半身不随だけれど 明るく しぶとく 生きていこう!

嘘をつく男 1968年 フランスチェコスロバキア

 

嘘をつく男 1968年 フランス🇫🇷チェコスロバキア🇨🇿

🍅🍅🍅

 

あらすじ

「舞台は、第二次大戦末期のスロバキア共和国。小さな村に、突如現れた異邦人。レジスタンスの英雄ジャンの同志だと名乗る男は、彼の妻や妹を誘惑し始める。
ボルヘスの短編「裏切り者と英雄のテーマ」(『伝奇集』)を下敷きに、ロブ=グリエが敬愛するルイジ・ピランデッロへのオマージュも込めつつ、現実と虚構のデッドゾーンへと観るものすべてを誘う。」アマゾン

監督: アラン・ロブ=グリエ

アラン・ロブ=グリエAlain Robbe-Grillet, 1922年8月18日 - 2008年2月18日)は、フランスの小説家映画監督ヌーヴォー・ロマンの代表的作家とされる。」Wiki

 

○この映画、学生時代に僕の周り+僕自身が撮っていた映画に実に似ている。こんなのをヌーボーロマンと言うのだろうか?映画自体に大きなストーリーはなく、ストーリーの捉え方は自分自身、自分次第である。こうゆう映画で自慢する人が当時多く、決してその人の前で「何だ?この映画。つまらねえ」などと言うと、相手の思い次第である。フランス人はこういうのを権威にする特技を持っており、特に日本人はこれに引っかかりやすい。

 

ヌーヴォー・ロマン:Nouveau roman、「新しい小説」の意)は、第二次世界大戦後のフランで発表された前衛的な小説作品群を形容した呼称で、アンチ・ロマン(Anti Roman、「反小説」の意)と呼ばれることもある。1957年5月22日[1]、ル・モンド誌上の論評においてエミール・アンリオが用いた造語。」Wiki

 

「実際には、明確な組織・マニフェスト運動があったわけではなく、従来の近代小説的な枠組に逆らって書いた同時代の作家達を総称するためのジャーナリスティックな呼称であるが、……略……作者世界観を読者に「押しつける」伝統的小説ではなく、プロットの一貫性や心理描写が抜け落ちた、ある種の実験的な小説で、言語の冒険とよんでいい。その技法は「意識の流れの叙述」(ナタリー・サロート)や「二人称小説」(ミシェル・ビュトール、「客観的な事物描写の徹底」(ロブ=グリエ)など様々だが、読者は、与えられた「テクスト」を自分で組み合わせて、推理しながら物語や主題を構築していかざるを得ない。」Wiki

 

○客観的事物描写の徹底、つまり「落ちのない志村けんの変な婆さん」である。映画の表現から、知りたい情報を切り取ることにより、映画は観るものの感性次第となる。そしてそれ自体がお洒落なのだ。それにハンサムな俳優と女優を配置して、衣装とか、食べ物には妙な統一性を持たせている。では、この実験映画は何の為にしているのだろう?そう聞いた時、あなたは敵の術中にある。

 

○映画の舞台

スロバキア共和国スロバキアきょうわこく、スロバキア語: Slovenská republika)は、1939年3月14日から1945年5月8日まで存在していた共和国である。ナチス・ドイツの同盟国か保護国であった。」Wiki

今そして更に🇨🇿チェコスロバキアスロバキア🇸🇰となるややこしさ。

          

○ジャン=ルイ・

(トランティニャン ジャン・)

(ロビン, Boris Varissa  )M

本人はフランス人。「男と女」の有名人。

劇中では、スロバキアの英勇のジャンだと名乗る。スーツネクタイのままナチスに山中を終われ、ジャンの留守宅に逃げ来む。彼の言ってる事はそれぞれに嘘っぽく、街の人たちは信じない。英勇の留守宅には、ジャンの奥さん姉妹と召使いがいて、ジャンの言っている事を信じているのかいないのか、アイシャドウの向こう側でわからない。ただし召使いのジーンは、嘘に関わらずその豊満な浅黒い体をジャンに開く。

          

Ivan Mistrík  (ジーン  )M

多分、英勇ではないか?と思わせる男。

2人の姉妹はこの男を隠しているようでもあり、そうでないようでもある。

          

Sylvie Turbová  (シルビア  )F

Zuzana Kocúriková  (ローラ  )F

この2人が姉妹。

同じような顔立ち、でアイシャドウをしている。白黒映画に白いドレスと褐色の肌が似合う。本当の姉妹ではないようだが、2人を姉妹と思わせ、個性を無くし、あなたの感性を解き放つ。

          

アイシャドウ

「起源は古代エジプトと言われており、当時の絵画や彫刻に目の回りに彩色したものが残されている。この時代のものは単なる化粧ではなく魔よけ・虫除け・目の病気への対策であったとも言われている。古代エジプトのアイシャドーは孔雀石をすりつぶした青色の粉状のものをまぶたに塗るもので、ハエによる眼病の伝染を防ぐといった目的で用いられた[2]。また、最初に使ったのがクレオパトラいう説もある。

 

○シルヴィ・ブレアル  (マリア  )F

一番、出番が多い露出度の高い召使い。

 

○ではこの映画は面白いのか?

まず下記のアマゾンにあるようなエロスは期待出来ない。

エロスの館、跳梁跋扈、異端児、終わりなき反逆と遊戯の果て、エロティシズムの陶酔、この文章は傑作である。「嘘をつく男」とはこの文章を言うのだ。いい意味で。一日中、内容を見ずに観るべき映画だ。

 

「逸脱する嘘が誘い込むエロスの館。まやかしの跳梁跋扈!
20世紀世界文学に革命を起こした《ヌーヴォー・ロマンの旗手にして、『去年マリエンバートでの脚本家として映画界に衝撃を与えた《ヌーヴェル・ヴァーグ最大の異端児、アラン=ロブ・グリエ。
アンチ・ロマン、アンチ・リアリティ、アンチ・イデオロギーその世界は終わりなき反逆と遊戯の果て、めくるめくエロティシズムの陶酔へ向かう。」アマゾン

○追記

ところでこの映画を観た若者は、55才の私より20年ぐらい上の世代かと思う。「実験映画は何のために」と思ったが、正にこの世代だ。私の周りで叫び暴れているおじいちゃん、おばあちゃんは。ヌーヴォー・ロマンの体現だ。気がつかなかった。こんなに側にいるとは!

プロットの一貫性や心理描写が抜け落ちた、ある種の実験的な小説で、言語の冒険とよんでいい。」Wik