migihanshin’s blog

半身不随だけれど 明るく しぶとく 生きていこう!

酔どれ天使 1948年 日本東宝

酔どれ天使 1948年 日本🇯🇵東宝

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あらすじ

「昭和23年。戦後の混乱はまだ収まらず、特に東宝労働争議で大きく揺れ、4月から半年以上にわたって製作中止の状態にまで至った。そんな困難な状況のなかから生まれたのがこの「酔いどれ天使であり、黒澤明の個性的なテーマや技法が確立された作品として記憶される。メタンガスの吹き出す、沼地周辺の貧乏人たちを診察して暮らしている飲んべえの医者と、彼から結核の宣告を受ける闇市のヤクザとの交流を描く。空いばりばかりしている人間のクズとしてヤクザを批判する視点と彼をそこまで陥れたのは戦争だったのだという視点とが交差するなかで、新人・三船敏郎はこけた頬に眼光をギラギラさせて出色の演技を見せ、この1本でスターダムにのし上がった。以後の黒澤=三船コンビの大活躍は周知の通り。また、この作品は黒澤と音楽監督早坂文雄との記念すべき出会いとなった。悲しい画面に「カッコウ・ワルツ」を流すという“映像と音楽との対位法”的な使い方は「野良犬」につながっていくことになる。」

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○所感

黒澤明はこうして見ていくと病気のテーマが多い。この映画は結核だ。「静かなる決闘」はヘルペスだ。完全に不治の病いではない。本人次第では治癒でき、本人次第では死に向かう。その葛藤が黒澤明の狙ったヒューマニズムなのかなと思う。

正直言って、黒澤明の他の作品に比べて、作品の全体を貫くダイナミズムは足りない。ところが、この映画の場合も終盤のシーンでグッと盛り上がる物がある。で気が付くと泣いている。泣くからトマト5つ🍅🍅🍅🍅🍅だと思われると困るので、4つ🍅🍅🍅🍅にしたな?と思われるのも困るが、しかし、何故あのシーンが泣けるのか未だ理解できない。これが初見ではない。今回も謎が解けない。三船敏朗のギラギラした白眼が、白黒の闇の中に光る。戦争を乗り越え、凡ゆる手段で、世の中を生き延びて来た男の、守り抜こうとしている者?物?とは何か?少しでも高いところを目指して行く松永:三船敏郎

戦後をどう表現する?ということもあるだろう。病気が進行する中で映画の中の今を生きる松永:三船敏郎は、その事に触れぬまま死に向かって行く。

 

○監督 黒澤明

 

○出演

 

○真田:志村喬

貧乏人を相手にする開業医。

個人的には、彼の怒りが少し足りない。この人の酔っ払いは、ちょっと足りない。この人の演ずるシミ出すような、怖くない怒りが好きだ。たまたま助けた松永:三船敏郎が気になり助けたくて仕方ない。結核と共に極道と言う病も併せて治したい。

 

○松永:三船敏郎

所謂、チンピラ。その中では上の方。親分である岡田:山本礼三郎の出所を待っている間は親分代行の様な役割。クラブの奈々江:暮実千代と暮らしているが、親分の岡田:山本礼三郎が刑務所から帰って来て、奈々江:木暮実千代から「男」を乗り換えられる。何故なら、松永:三船敏郎が、結核だと知り、将来を見限ったからだ。この辺り淡々と、松永:三船敏郎も悔しい様にも見えない。そんな事にこだわっていない。ここが、松永:船敏郎のポイントだ。岡田:山本礼三郎が譲ってくれと言うなら譲るのだ。拘りなど無い。

 

○美代:中北千枝子

真田:志村喬の医院で働く看護助手。

実は岡田:山本礼三郎の元奥さんか情婦。刑務所から帰ってくる岡田:山本礼三郎にビクビクしている。しかも、何処か未だ未練がある様だ。

 

○岡田:山本礼三郎

悪。刑務所から出てきた男。所謂、「生きる」と言う繊細さを感じ無い昔ながらの極道。それに対して、繊細な松永:三船敏郎は対照的だ。

 

○奈々江:木暮実千代

クラブのホステス。

松永:三船敏郎の情婦で、後に岡田:山本礼三郎に乗り換えをする。この人のホクロは本当に印象的だ。名ホクロと呼ぼう。でもホクロには誰も触れず?

 

「日本人離れしたルックスとスタイルに加え、悩殺的でコケティッシュな色気もあり、純情可憐型が主流の松竹では恋敵役が多かった。」Wiki

 

○ぎん:千石規子

今回は、ちょっと目立たない役。でも存在感は抜群だ。

 

○セーラー服の少女:久我美子

黒澤明が、必ず配役の中に忍ばせる希望。それがこの結核の少女だ。

 

○ブギを唄う女:笠置シヅ子

ちょっと、今ひとつ。「黒澤明の個性的なテーマや技法が確立された作品として記憶される。」と言うが、偉い先生が評価しても、観客が心打たれなければ意味がない。そうゆう事もあると言う事だ。

 

結核

結核(けっかく、Tuberculosis)とは、マイコバクテリウム属細菌、主に結核菌(Mycobacterium tuberculosis)により引き起こされる感染症[2][3]。結核菌は1882年ロベルト・コッホによって発見された日本では、明治初期まで肺結核労咳(癆痎、ろうがい)と呼ばれていた。また最近まで、「肺病」とも言われていた。現在でも多くの人が罹患する病気で好発部位はであるが、全身の臓器器官に感染し、顕著な症状を呈している部位名の前後に「結核」を付け加えるなどした呼び方により細分化される(肺結核肺外結核カリエス参照)。」Wiki

 

一体どれだけの芸術家が、特に作家がこの病気で亡くなられたか知れない。サナトリウムなどで養生すれば治ると言うが、健康保険のない時代、一体どこからそのお金を持ってくるんだ。増して、松永:三船敏郎の様なチンピラが?

 

結核ヘルペスも、今は難しい病気ではないなどと勝手に思っていたが、実際そうではない様で驚く。

 

世界の疾病負荷(WHO, 2019年)[1]

 

〜〜ここに結核写真と表

 

結核は10位内に入っている。

右麻痺の僕も寝ないでブログを書いている場合じゃない。

 

○総括

昔、国語教師の父も、黒澤明が大好きだった。彼と語る事が少なかったので、何が好きだったのか知らないが、それだけは趣味が一致した。そして、二言目には、カラーの黒澤明は駄目だと言った。影武者、デルスウザーラ、乱、確かにそうゆう意見も賛成出来た。今思うと、カメラと演技者の距離が遠くなった。カラーになって黒澤の距離からウィスコンティの距離になった。それが、何故悪いかはわからないが、カラーでは泣けなくなった。また見てみよう。

 

合掌