migihanshin’s blog

半身不随だけれど 明るく しぶとく 生きていこう!

人情紙風船 1937年 日本

人情紙風船 1937年 日本🇯🇵

🍅🍅🍅

 

あらすじ

「わずか28歳で戦病死した昭和初期の名監督・山中貞雄の遺作となった人情時代劇。江戸時代。貧乏長屋で暮らす髪結いの新三は、個人で賭場を開いてヤクザから目をつけられる。そのため金に困った新三は、髪結いの道具を質屋に持ち込むが断られてしまう。一方、新三と同じ長屋に住む浪人・又十郎は、かつて父が世話した侍・毛利に仕官を頼むが全く相手にされない。ある日、偶然から質屋の娘を誘拐した新三は、娘を長屋へと連れて帰るが……。歌舞伎の演目として知られる河竹黙阿弥原作「髪結新三」の映画化。」映画.com

 

○所感

この有名な作品がiPadで見れる事に感謝したい。

僕の様な障害一級でも見る事が出来る、

障害一級でもJRが半額なだけじゃ

車椅子で映画館には行けない僕でも見る事が出来る、

出不精の僕でも見る事が出来る、

借金を抱えて倒れたお陰で、

破産した僕でも見る事が出来る、

この世の中に感謝したい。

正にこれが「人情紙風船」だ。

では、この映画はどうであったか?

ちょっと物足りなかった。勿論、前知識なしに見るという姿勢がこの映画で正しかったのかは知らない。でも歌舞伎を知らない人間が前知識無しに見るのは、ちょっとしんどかった。最後の方でやっとこの映画の中心人物が、浪人の、紙風船を内職で作っている海野又十郎:河原崎長十郎ではなく、髪結新三:中村翫右衛門である事に気付いたのはちょっと残念。そして何よりこれは、大岡裁きの延長にある作品。僕達が子供の頃散々見たあれだったのだ。

 

○監督:山中貞雄

 

○原作:河竹黙阿弥(『梅雨小袖昔八丈』、通称『髪結新三』)

 

○出演

髪結新三と白子屋の娘お駒

 

白子屋の娘お駒と海野又十郎:河原崎長十郎

 

Wikiの役名を並べ直して見ました。

これで初心者でも大丈夫。

 

○海野又十郎:河原崎長十郎

ポスターを見ても、この映画の主人公はこの人だ。でも、印象から見ると完全な脇役。映画にも紙風船とあり、この紙風船の内職をしているのも、この浪人だ。後述するが、この映画の原作、歌舞伎「髪結新三」では、この人のエピソードが無いのでは?人情に厚みを持たせる為に監督が加えたのであろうか?

 

○髪結新三:中村翫右衛門

この人は、名前どうりの主役。こういう人を鯔背(いなせ)と言うのではないか?武家では無くて、浪人でもない。あくまで町人で面倒見が良い。悪いところもあるか、駄目と言えば絶対に駄目と言う。これは鯔背ではないか?この人が正にそれだ。食えない奴だ。この人に焦点を持って行くと分かりやすい。

 

「[名・形動]

粋いきで、勇み肌で、さっぱりしているさま。また、その容姿や、そういう気風の若者。「鯔背な兄い」

2 「鯔背足駄いなせあしだ」の略。

[類語]男性的男らしい雄雄しい男臭い男盛り男振り男前男冥利みょうり男気男伊達だて男性美りりしいましいたけだけしい精悍雄偉偉丈夫快男児好男子硬骨漢正義漢熱血漢無頼漢」  コトバンク

 

何故この映画が面白くないと感じたかは明確だ。僕達は子供の頃からテレビの時代劇で散々見ているスタイルだからだ。或いはその原型を作ったのがこの映画だからかもしれない。髪結新造には、そうゆうオリジナリティがあり、それに歌舞伎があり、日本のテレビ時代劇があり、見慣れたものだと言う評価になると思う。この映画とテレビ時代劇の関係に触れないと嘘になる。

 

○弥太五郎源七:市川笑太朗

ヤクザの大親分。如何にも悪。でも、部下の田鶴なを引っ張るタイプ?イケイケではない。

 

○百蔵:市川莚司(加東大介)

ヤクザの突撃隊長。

この中で唯一知ってる俳優。「七人の侍」の悪役。仲代達也の右腕。その他、昔の映画でよく出てくる小太りの善悪デュアルタイプ。相撲取りにこのタイプがいたような魅惑の下腹。

 

○家主長兵衛:助高屋助蔵

髪結新三:中村翫右衛門や、海野又十郎:河原崎長十郎が住んでいる長屋の大家。二言目には、「家賃何ヶ月溜まってるんだ」と言う人。でもまとまったお金が入ると、皆んなに酒を振る舞ってしまう🍶髪結新三:中村翫右衛門

 

○忠七:瀬川菊之丞

原作では重要な役どころであったらしい。

白子屋の娘お駒:霧立のぼるが「ほ」の字の番頭さん。

 

○白子屋の娘お駒:霧立のぼる

原作では、重要人物で、映画でもポスターに出ている美人。でも、映画での活躍はそれ程でもない。

 

○毛利三左衛門:橘小三郎

この人は、お駒に縁談を持って来る侍であり、海野又十郎:河原崎長十郎の昔の上司で、海野又十郎:河原崎長十郎の父には逆に恩がある。のに海野又十郎:河原崎長十郎を助けない。人情のない男。毛利、苗字のある家に生まれれば、今じゃ鉄鋼会社の重役だ。

 

○按摩藪市:板東調右衛門

町内にいる、盲目の按摩師。見えていなくても心の目で見えている。

 

○白子屋久左衛門:御橋公

○白子屋久兵衛:嵐芳三郎 (若い)

この2人のうちどちらかが白子屋の主人。

如何にも繊細なタイプだが、上述の弥太五郎源七:市川笑太朗を使い、やる事はエゲツない。

 

○又十郎の女房おたき:山岸しづ江

海野又十郎:河原崎長十郎の奥さん。ただひたすらに紙風船を作る。シュールで、ある意味現代的な、ネオレアリズモな存在感が良い。長屋にいても元武家のプライドを捨てない。この人こそ監督:山中貞雄が作り上げた現代的な役どころのような気がする。

 

○その他、人情の中で喜び、悲しむ人々。並び替えが大変!

  • 長松:市川扇升
  • 磨師の卯之公:沢村比呂志
  • 古傘買いの乙松:市川岩五郎
  • 猪助:山崎進蔵
  • 乙松の女房おくま:岬たか子
  • 源公の女房おてつ:原緋紗子
  • 久兵衛の女房おなつ:岩田富貴子
  • 甚七の女房おちよ:一ノ瀬ゆう
  • 夜そば屋の甚吉:中村進五郎
  • 吉兵衛:板東みのる
  • 役人:市川章次
  • 流しの与吉:中村公三郎
  • 市川進三郎(配役不明)
  • 平六:嵐敏夫

・金魚売源公:中村鶴蔵

  • 目明し弥吉:市川楽三郎
  • 錠前屋の兼吉:市川菊之助

 

○そして、これにたどり着く事が出来る、ウィキペディアのある日常。有難や有難や。これと見比べる楽しみもある。

 

『梅雨小袖昔八丈』(つゆこそでむかしはちじょう)とは、歌舞伎の演目のひとつ。全四幕。明治6年(1873年)6月、東京中村にて初演。二代目河竹新七河竹黙阿弥)の作。通称『髪結新三』(かみゆいしんざ)。

 

○人情

「人情噺(にんじょうばなし)とは、落語の演目の中のひとつのカテゴリである。一般には親子夫婦など人間の情愛を描いた噺を指しており、「大ネタ」と呼ばれる長い噺が多い[1]。人情噺を最初に演じたのは朝寝房夢羅久だといわれている。」Wiki

 

原作もウィキペディアで要約を確認出来るので違いを見ると面白い。最後に、よく小津安治郎の畳目線の固定アングルが凄いと大学の偉い教授や外国人や、昔同期で映画研究会、今S新聞にコネで入った人情の無い元友人がよく言うが、そもそも日本映画は畳目線の固定アングルじゃないのかと思う今日この頃です。要確認。

 

合掌