migihanshin’s blog

半身不随だけれど 明るく しぶとく 生きていこう!

永遠の人 1961年 日本

永遠の人 1961年 日本🇯🇵

🍅🍅🍅🍅

 

あらすじ

「◇第一章 昭和七年、上海事変たけなわのころ。阿蘇谷の大地主小清水平左衛門の小作人草二郎の娘さだ子には川南隆という親兄弟も許した恋人がいた。隆と、平左衛門の息子平兵衛は共に戦争に行っていたが、平兵衛は足に負傷、除隊となって帰ってきた。平兵衛の歓迎会の旬日後、平兵衛はさだ子を犯した。さだ子は川に身を投げたが、隆の兄力造に助けられた。やがて隆が凱旋してきた。事情を知った彼は、さだ子と村を出奔しようと決心したが、その当日、幸せになってくれと置手紙を残し行方をくらしました。

 

◇第二章 昭和十九年。さだ子は平兵衛と結婚、栄一、守人、直子の三人の子をもうけていた。太平洋戦争も末期、隆も力造も応召していた。隆はすでに結婚、妻の友子は幼い息子豊と力造の家にいたが、平兵衛の申し出で小清水家に手伝いにいくことになった。隆を忘れないさだ子に苦しめられる平兵衛と、さだ子の面影を追う隆に傷つけられた友子。ある日、平兵衛は友子に挑んだ。さだ子は“ケダモノ”と面罵した。騒ぎの中で長いあいだ病床にふしていた平左衛門が死んだ。翌日、友子は暇をとり郷里へ帰った。

 

◇第三章 昭和二十四年。隆は胸を冒されて帰ってきた。一方、さだ子が平兵衛に犯された時に姙った栄一は高校生になっていたが、ある日、自分の出生の秘密を知り、阿蘇の火口に投身自殺した。さだ子と平兵衛は、一そう憎み合うようになった。」全五章 eiga.com

○監督・脚本・製作:木下惠介

 

フラメンコギター:ホセ勝田

 

○所見

この映画は、戦争の前と後を全五章と言う時間の流れの中で、時間と言う大きな化け物と戦った夫婦とそれを取り巻くこれもやはり夫婦、子供、なりが、どの様に生きて行くかを見事に描いている。そして、この頃のこの人々の言葉の中に「愛してる」と言う言葉が無い事に気がつく。ヘイベイと、サダコの世代には、ほぼ「愛してる」と言う概念がない。それは、再開した、サダコの本来の婚約者であるタカシにおいても、同じである。この人達に「愛してる」は無く、「誰よりも心配している」と表現しているのだ。この事が、この映画の重要なポイントであると思うのである。

 

○小清水平兵衛:仲代達矢

行った事になるのかわからないが、高校の修学旅行が九州一周旅行で、阿蘇の草千里と言うところに行き、更に阿蘇山の噴火口にも行った。全く素晴らしいところであった。こんな土地の地主。イメージがしにくい。この人の土地と言うよりは、大自然の土地を借りている様な気分ではないのか?全5章、夫婦は、年老いていくのだが、それ以外の時間の動きは、この土地にいる限り無頓着である。戦争をしていようが、負けようが、この草千里の土地は、人間の営みなど鼻にもかけない。なるほど、ヘイベイさんが、いじけ、人の女に手を出して、金に物言わせ、結婚してしまうわけである。初めから、愛を期待する結婚ではないのに、何故か強烈に愛(らしきもの)を希求している。

 

○さだ子:高峰秀子

それでは、さだ子と言えば、どうであろう。彼女は、このヘイベイへの怒り、復讐心をバネに、何十年も生きているのである。本来であれば、隆さんと一緒になるところであった。だが、隆は身を引いた。ヘイベイさんと幸せになってくれと言う。なんでもかんでも「愛」で単純化出来た時代ではないのだ。そもそも、何が恋愛だかわからない激しい相手を求める感情が愛というのなら、この時代以前、そんなものは無しに結婚した人は沢山ある筈である。「愛」と言う言葉の歴史は浅いのではないか?調べたら、Wikiにすらなかった。

 

○川南隆:佐田啓二

潔く、さだ子から身を引いた男、隆である。別の奥さんを見つけ、子供を作る。人生の途中で何度か、貞子に会うのだが、接吻すらしない。この人の人生とさだ子の人生の長い時間での絡み方が、何よりこの映画の重要なポイントで、素晴らしいネタバレなのだ。

 

○さだ子の父・草二郎:加藤嘉

何よりもさだ子の影に隠れて、生きて行くさだ子の父である。この人は本当にいつも思うが、タイムパラドックス俳優である。この映画でもそうゆう長い人生を変わらぬ怒りと悲しみで過ごす。

 

○平兵衛の息子・栄一:田村正和

これが、あの田村正和のデビュー作だという。ビックリだ。でもヘイベイの長男とは、つまり高校生くらいで、阿蘇の火口で自殺してしまう役。あらかじめ知らないと、田村正和とはわからないほどだ。

3人兄弟で、次が妹で家を出てしまい、一番下の弟が都会へ出て、共産党に入り、警察に追われている。

あの大地主ヘイベイも、すっかり弱くなってしまった。

正に、時とは恐ろしい。何ものも叶わぬものは時だ。

 

○総評

木下恵介、今後この人の映画を追っていきたい。

素晴らしい映画だ。

最後に、阿蘇をご紹介して、Wikiして終わらせていただきます



阿蘇谷(あそだに)は、熊本県阿蘇カルデラ内(カルデラ盆地)において、中心部にある阿蘇山中央火口丘阿蘇五によって南北に分断された北側の火口原[1]で内郷谷とも呼ばれ、阿蘇市に属する。これに対して、南側は「南郷谷と呼ばれる。阿蘇谷と南郷谷には湖底堆積物がある[2]。地質調査やボーリング調査によって阿蘇カルデラ形成後にカルデラ内において湖が少なくとも3回出現したと考えられ、古いものから、古阿蘇湖、久木野湖、阿蘇谷湖と呼ばれている[3]。」Wik

 

合掌