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戸田家の兄妹 1941年 日本松竹

戸田家の兄妹 1941年 日本🇯🇵松竹

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あらすじ

「『戸田家の兄妹』(とだけのきょうだい)は、1941年(昭和16年)公開の、小津安二郎監督による日本映画

戸田家の当主が亡くなり、借財の整理に本宅などを処分することになった。母と三女の節子は、当分の間長男の進一郎の家に身を寄せることになる。次男の昌二郎は、自分のことは心配ないと兄に告げ、天津へ旅立つ。母と節子は、進一郎の妻から冷たくされて長女の千鶴の家に移る。しかし、そこでも邪険にされたので、2人は別荘に住むことになる。帰国した昌二郎はそれを知って、兄弟たちの不人情を厳しく批判する。彼は、母と節子を連れて天津へ行くことにするのだった。」Wiki

 

○所感

実は、小津安二郎が、あまり好きで無いことは、以前に言った覚えがある。小津が好きだ、凄いと言われると、ますます逆の事を考えてしまう。 多分、僕の個人的な問題だから、あまり気にする必要はない。

大学時代の同輩が、小津を好きだったのである。この人は、小津を語る時、目に涙を溜め、どこか遠くを見て小津を論じた。その情熱と迫力に押され、面白いのかなと思った。夜遅くまで、彼の風呂の無い広い下宿で、彼の映画論は続いた。ああ、こんな男に、ここまで愛される小津安二郎は、映画人冥利につきるなと真剣に思った。そうして彼は、映画界ではなくS新聞に入り、友人を南国の官憲に売り、今日の地位を築いた。ここまでの俗物とは知らなかった。普通、そんな事をしていたら会うのも後ろめたいものだが、5、6年前、何度も会った。新聞記者と言うのは忙しいんだなと関心したが、ソリャ僕と会って、騙されている事を知らないお人好しの生の声の方がネタになる。しかもS社独占だ。まあもう辞めよう。それが、小津安二郎を好きになれない理由かもしれない。

この作品は、戦争中の家族兄弟夫婦の葛藤が書かれている映画だ。戦争中に公開されているのだから、戦争中の検閲を通っているのだろう。でもこの作品にそのあたりの不便さは感じない。小津安二郎の作品は、戦前、戦後とあまりリズムが変わらないところが、一つの魅力なのかもしれない。むしろ表現、報道の自由は、小津安二郎を好きだった我が同輩にとって、全くのフィクションだった様だ。

 

○監督:小津安二郎

 

○出演

以下、父母、兄弟姉妹順に並べる。

○父 戸田進太郎:藤野秀夫

戸田家の家長。いきなり亡くなった。この人は何故金持ちなのか、よくわからないが、それをカタに借金があるようで、この人の顔でしている借金も多かった様だ。戸田家は、突然この借金の整理に追われる。

 

○母:葛城文子

次の問題は、戸田家の母を兄妹の誰が引き取るかである。今までいた麹町の邸宅は、処分して無くなってしまった。夫が亡くなる少し前、戸田家の全員で写真を撮ったあの家。東京のど真ん中だ。

この人口に注目!

 

麹町とは

1878年11月の郡区町村編制法によって東京の市街地に15が編制された際に、麹町(四谷見附以西の十一から十三丁目(現在のJR・東京メトロ四ツ谷駅付近)までを含む)は番町地区や永田町霞が関日比谷地区、江戸城内濠内の宮城(きゅうじょう:皇居)・丸の内大手町などとともに麹町区となった。1880年9月に麹町十一から十三丁目までは四谷区編入(この麹町十一から十三丁目までは1943年に町名変更し、以降現在の四谷一丁目および二丁目の各一部となった。1889年5月1日の市制施行により麹町区東京市の区となる。宮城や官庁街を擁する国政の中枢であり、また東京府庁や東京市所も位置した麹町区は東京15区(1932年の市域拡張後は35区)の筆頭に位置付けられていた。

 

○以下は、ストーリー、兄妹の年齢と家族順に並べて行く。

 

❶母と三女節子:高峰三枝子(独身)は、まず②に引き取られる。これが田園調布の家だ。

 

「田園調布(でんえんちょうふ)は、東京都大田区世田谷区域地名。都内有数の高級住宅街となっている。」Wiki

 

「田園調布は、1918年大正7年)に実業家渋沢栄一らによって立ち上げられた「理想的な住宅地『田園都市』の開発」を目的とする田園都市株式会社[5]により主に開発され、1923年大正12年)8月から分譲開始した地域である。田園都市株式会社は東急電鉄東急不動産の始祖にあたる会社である。」Wiki

 

と言う事は、映画の時代には既にあった住宅地であった。家も立派である。

 

❷ところが、長男進一郎:斎藤達雄の奥さん、和子:三宅邦子と三女節子:高峰三枝子(独身)が合わない。

そこで、長女千鶴:吉川満子 (未亡人)の家に引越しを検討する。

だが、長男進一郎:斎藤達雄の家で2人は懲りて、仮に長女千鶴:吉川満子 (未亡人)の家に行っても、何もしなくては居心地が悪い。仕事でもしようと思うが、戸田家のような立派な家の娘が見っともない事はよしてくれと、長女千鶴:吉川満子 (未亡人)に言われる。要は、ただ居てくれと言っているわけだ。

 

❸それで、2人は鵠沼の別荘に引っ越す。女中きよ:飯田蝶子がそこで世話をしてくれる。

 

鵠沼(くげぬま)は、神奈川県藤沢市の南部中央にある地域の地区名。1908年明治41年)、高座郡藤沢大坂町明治村と合併する前の旧鵠沼村の村域とほぼ重なる。北は旧東海道付近、東は境川、西は引地川に囲まれた地域である。南は相模湾に面しており、人口は5万人を遙かに超す。年間を通して湘南海岸に多くの観光客が訪れる」Wiki

 

ここも、多分、今はいいところなのだ。

 

別荘に2人で住んでいる所に、次男昌二郎:佐分利信(独身)が天津から帰って来る。母と妹のジプシー状態を知り激怒する。

 

①長女千鶴:吉川満子 (未亡人)

良吉(千鶴の子):葉山正雄

性格のキツイ長女。言いにくい事をズバッと言うタイプ。

 

②長男進一郎:斎藤達雄

その妻 和子:三宅邦子

光子(進一郎の子):高木眞由子

和子:三宅邦子は、じわじわと嫌味を言うタイプ。父の借金の整理は、父の財産の範疇で終わっており、良いものは彼等が抜き取る余裕もあった。

 

③次男昌二郎:佐分利信(独身)

少し斜に構えたニヒル男。でも映画の中では、三女節子:高峰三枝(独身)と並ぶ主演である。中国、天津に行き、やる気になる。

 

④二女綾子:坪内美子

その夫 雨宮:近衛敏明

頭数か?

 

⑤三女節子:高峰三枝子(独身)

主役。母を連れて姉妹と戦う。次男昌二郎:佐分利信(独身)と仲が良い。

高峰三枝子と言えば、僕にとっては、フルムーンパスである。綺麗なおばあちゃんの先駆けだ。でも映画の中での演技にはイマイチメリハリがない。

 

「フルムーン夫婦グリーンパス(フルムーンふうふグリーンパス)とは、JR旅客会社のグリーン車が乗り放題となる、熟年および老年夫婦を対象とした特別企画乗車券(「トクトクきっぷ」)である。転じて、中高年夫婦の旅行を「フルムーン旅行」、あるいは単に「フルムーン」と呼ぶことがある。」Wiki

 

上原謙&高峰三枝子(1982年~1987年) - 初期のCMでは高峰が温泉につかり、豊かな胸の谷間が大胆に披露されたこともあり大きな話題を呼び、本切符が大ヒットするきっかけともなった。」Wiki

 

○時子:桑野通子

多分、三女節子:高峰三枝子(独身)が、次男昌二郎:佐分利信(独身)に紹介したい嫁さん候補。

 

○昌二郎の友人:笠智衆山口勇

 

○総括

出演者が多過ぎ、2時間かけて誰にも頼まれず内容を整理してみた。検閲しようがしまいが、小津安二郎の映画は、日本的ブルジョアジー。しかも、戦争前の日本だと言う事を考えると、戦争が如何に短期間に日本を暗転させたかが分かる。大日本帝国も、何かプランがあって戦争を行ったようには見えない。むしろ、ズルズルだ。日露戦争みたいに、相当甘い見込みで勝てると踏んでいたように見える。その中でのブルジョアジー小津安二郎だ。特に、次男昌二郎:佐分利信(独身)には、夢すら感じる。僕が居た大阪のブラック鉄鋼商社がズルズルと中国🇨🇳、上海、天津と進出するのに似ている。皮肉では無く、日本人ってそうゆう民族なのだ。人生にモチベーションが必要だ。

それにしても、小津安二郎の映画には葛藤が無い。

本当は、検閲って本当は何なのか勉強したかったのだ。令和の今なお検閲されている僕としては、今と戦前と何が違うというのだろう?

 

「検閲(けんえつ、: censorship)は、狭義には国家等の公権力が、表現物(出版物等)や言論を精査し、国家が不適当と判断したものを取り締まる行為をいう[1]。また、消防では、訓練等を観閲することをいう。」Wiki

 

行政が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を精査した上、不適当と認められるものの発表を禁止すること。」Wiki

 

合掌