黒い十人の女 1961年日本大映
あらすじ
「東京のテレビ局「VTV」のプロデューサー・松吉は、美しい妻・双葉がいながら、テレビ業界に関わる9人の女と浮気していた。やがて妻・双葉と9人の愛人たちはお互いの存在を知るようになり、奇妙な友情が芽生えてゆく。あるとき、愛人のひとりで舞台女優の市子が、双葉と愛人たちを集め、松吉を殺す計画を話し合う。愛人のひとり・三輪子は秘密を抱えきれず、計画の存在を松吉に打ち明ける。松吉に問い詰められた双葉はあっさり計画を認める。」Wiki
監督 市川崑
出演 岸恵子, 山本富士子, 宮城まり子、中村珠緒
○映画のジャンル
絵画展のような芸術作品 鑑賞美顔作品 ストーリーは、多分どうでもいい作品。日本の市川崑の大映ヌーベルバーグ。
「松竹ヌーヴェルヴァーグ
1960年代前半の松竹出身の映画監督達を指して言った言葉。 大島渚の『青春残酷物語』の興行的ヒットがきっかけ。 奔放さや反権威の姿勢が、フランスで勃興しつつあったヌーヴェルヴァーグと似ていたことから、それらの新しい映画に対して、マスコミによって「松竹ヌーヴェルヴァーグ」と名づけられた。
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日本ヌーヴェルヴァーグ - Wikipedia」Wiki
○最後まで見たか?
見ました。
○ビックリしたか? 驚いたか?
白黒がここまで人を美しく表現する。だから黒い10人の女なのでしょう。
特に、岸恵子、山本富士子、中村珠緒 の美しさに驚きます。岸恵子って存在そのものがヌーベルバーグ見たい。
○もう一度見たいか?
どうやら、この映画は2回もリメイクされているらしい。
この映画は市川崑にとっても、恐らく、あまり、えばれる出来ではなかったのではないかと思います。だから再上映されず幻の作品となっていたのではないでしょうか?というか、この頃の日本人が理解してくれるのかしら?
そういう映画を、もしカラーで描かれば、どうあっても難しい映画になる筈ですが、怖いもの見たさで見てみます。白黒だから成り立った映画。
○一緒に見て困る人はいるか?
ありません。お年寄りと見たら、青春時代を思い出し、喜ぶでしょう。
○特筆すべき男優、女優はいますか?
岸恵子の人間とは思えない顔立ち。
山本富士子の黄金比率日の丸顔。
中村珠緒の、その後の老いた彼女しか知らなかった者にとって、衝撃的とも言える美白顔。
岸田今日子のアウトローな美顔。
何故、この時代の大映映画で大活躍した若尾文子や京マチ子が出ていないのか不思議です。これらの女優を知っていても知らなくても、多分この美人博覧会的映画に感動することでしょう。
○印象に残るシーンは?
私は福祉関係の方だと思っていた宮城まり子が、愛人の役をやっていることが印象に残りました。そして10人の女の企みやら、狂気やらに対して、宮城がそこここで慈悲の心を表現するのが良かった。
山本富士子もまた、完璧な気の強い美貌の奥方ですが、このバカげた計画の実行を実行しきれず、夫への愛情を覗かせるシーンが印象的でした。
そういう「よろめき」が映画の隠し味になっています。これぞ日本風味のヌーベルバーグでしょう。
○監督については?
市川崑、映画監督として、やりたいことをやれる人生。
○仏教的にはどうか?
10人の菩薩とか、吉祥天とか、弁財天とか、このキャストならそういうのもありでした。大映映画につきものの仏教シーンはありませんでした。
○︎
市川崑とゆう映画監督は、いつも思うのであるが、こだわりなく、持って来られた仕事を実直に行う人のような気がする。勿論、クリエイターであるからには、そのこだわりを、観たものが感じるようにするのは当たり前の事である。でも、これだけの作品を撮っていたら、中には料理し難い映画もあったことであろう。それをどの様に料理するかがこの人の実は最も重要な特質の様な気がする。だから、市川崑監督の作品のラインナップには、好き嫌いを感じない。この作品は、1950年から映画の一潮流としてフランスのヌーベルバーグがあって、そうゆう撮り方があって、つまらない企画があって、成立した奇跡の映画の様な気がする。市川ヌーベルバーグだ。