アリバイの無い男 1953年 アメリカ
あらすじ
「ティモシー・フォスター(プレストン・フォスター)はカンサス・シティの南西銀行襲撃を企てお尋ね者の3人、ピート(ジャック・エラム)、トニー(リー・ヴァン・クリーフ)、ボイド(ネヴィル・ブランド)を仲間にした。彼らは覆面をしてお互いに顔を見せないことにした。警察をまいて襲撃に成功した後、フォスターは仲間に、ほとぼりがさめたら獲得した大金を山分けしようと、秘密の目的地行きの切符と仲間の印として破ったトランプをわたした。いっぽう、花屋のトラックを運転するジョー・ロルフ(ジョン・ペイン)という男が、この犯罪に知らぬ間に関係させられていた。」映画.COM
○所感
今回はグーグルのページが無かったが、俳優が皆有名らしく殆どウィキペディアのページを持っていた。逆に映画のウィキペディアページが無く、苦労する。映画はある意味変わったアイデア。お互いの顔を見た事のない者同士が、(実際にはボスのフォスターは全員の顔を知っている)マスクをして銀行強盗を行い、その罪を平凡な花屋の配達の運ちゃんになすり付けて、メキシコ、グアテマラに逃げる。この平凡な花屋が彼等の報酬の分割の為に合流するところへ追いかけていき、復讐をしようとする。
ここのところ思うのは、映画って何気ない彼等の努力がノウハウで、勝負を分ける。この場合、配役だ。下の写真を見ても分かるが、出演者の顔の作りにメリハリが無いと、短い時間にこの映画を観せられる観客はそれだけでコケる。簡単な事だが重要な事だ。この映画はその点で成功している。素晴らしいまではいかなかったが。
今回のレビューの2回前に、成瀬巳喜男の「稲妻」を見て困ったのがこれだ。映画で眠くなるのは、あなたのせいではない。面白くないのだ。「成瀬監督スゲー」と言いたかったが、「稲妻」は面白く無かった。それでいいじゃないか?権威主義は捨てよう。
出演 (トマト式鑑賞のお供)
○主人公
ジョー・ロルフ(ジョン・ペイン)
花屋の配達係。銀行に配達に来たとき、銀行強盗にぶつかり、警察に捕まる。疑いは晴らすが仕事を失って、銀行強盗への復讐を決心する。友人に恵まれ、餞別まで貰う。意外に強く、素人とは思えない。
○主犯
ティモシー・フォスター(プレストン・フォスター)
銀行強盗のボス。
理解力が悪く申し訳無いが、この人は結局、銀行強盗の報酬を仲間に分けるつもりなのか?違うのかがよく分からない。このメキシコだかグアテマラだかで、強盗一味を集結させようとする。
○仲間①
ピート(ジャック・エラム)
最初に仲間にされた、半ば強引に仲間にされたピート。
この中で最もボスに足下を見られた感。
○仲間②
トニー(リー・ヴァン・クリーフ)
この写真ではちょっと分からないが、映画では非人間生物のような人。
○仲間③
ボイド(ネヴィル・ブランド)
この人が、最高のキャラ。私はこうゆう人を、友人に1人知っている。アジア人のようで、バター臭い一面を持っている。ジミーと呼ぶとちょうどいい。部下にするには間違いなく使えるタイプだが、率先して悪い事が出来ないタイプ。
○フォスターの娘
フォスターの娘ヘレン(コリーン・グレイ)
唯一の女性。ネタバレ的存在。
○総括
と言うか、この映画、最初のアイデアが余りに良かったもので、映画が終盤に行くに従って、行先が尻すぼみなった点は否め無い。しかも、この最強のキャスティングが、逆にボスのフォスターの存在感を弱くしてしまった。誰のアリバイが、何処に行ったのか?聞いてみたい。見ても損は無い映画。映画とは顔だなと実感する作品。
淀川長治さんの昔からアメリカ映画の骨太感を実感している。「悪い事はいくらでも出来る。でも責任取れよ!」みたいな、投げ出された感じ。この後味が好きだ。
合掌