migihanshin’s blog

半身不随だけれど 明るく しぶとく 生きていこう!

素晴らしき日曜日  1947年 日本東宝

素晴らしき日曜日  1947年 日本🇯🇵東宝

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あらすじ

「ある日曜日、恋人同士の雄造と昌子は街に出た。所付金は二人合わせて三十五円と寂しいものだったが、仲良く街を歩く。モデルハウスを見学した昌子は、夢見がちになるが雄造が水をさす。それからというもの良い事は起こらず二人はふさぎこむが、最後には気を取り直し、夜の野外音楽堂で二人だけのコンサートを開く……。敗戦直後の風俗を背景に恋人たちのささやかな日常を描いて、爽やかな感動を呼び起こした心暖まる小品。

スクリーンの中から観客に向かって拍手を呼びかける前代未聞のシーンには、黒澤監督の熱い想いが込められており、本作がパリで公開された時には、映画館が熱狂的な拍手的な拍手につつまれたという逸話も残っている。」アマゾン

 

○所感

この映画を見るのは、もしかしたら30年ぶりである。池袋か新橋かの名画座で観たのではないか?何せ日曜日に会う恋人同士が、なんとも言えない貧乏で、靴に穴が空いていたのを覚えている。モデルハウスもよく覚えている。でも、僕にとっては羨ましかった。だって、その時は大学生で彼女も居ない。童貞でもあった。そうゆう清い僕には、この彼女が頑なに守っているものが何か理解出来なかった。その時、誰と見に行ったか思い出せないが、どうせ男である。

そして、30年後の今回。相変わらず日本人女性とは清い間柄だったが、僕は新しい視点から、新しい事が分かった。それは、「素晴らしい日曜日」が描く休日である。就職してから、つくずく思ったのは、充実した休日は中々来ない、或いは掴む事は出来ないものである。その数日前から、休みの日にワクワクし、期待も大きいが、その日になると大体つまらない事が多い。プランがあり、お金があれば尚更だ。ところがたまに、お金も無く、2人の間も何となくギクシャクしているにもかかわらず、或いは、子供がいて、何時もどうりグズグズしてメンバーの足並みが揃わないにも関わらず、「あーなんか良い日曜日だったね」なんて振り返る日があるものだ。この映画の2人が正にそれ。悪い事もあったけれど、極めて充実した人生の1日を過ごしているのだ。こんな時間は、お金を持っていても、家があっても、車があっても中々手に入るものではない。偶然そうなったのか、狙ってそうしたのかはわからない。でも、そうゆう意味での「素晴らしき日曜日」なのだ。だから、有名な最期のシーンは、この映画のあらゆる出会いの一幕に過ぎない。むしろ終わって最後に「素晴らしき日曜日」と題字を読み直す事にこの映画の価値がある。

黒澤明さんは、凄い監督だ。でも、自分の中にある実力以上のものは、偶然に出来たものは、自分が理解していないものという事で排除する事がある。実力のある人故か…

 

○監督:黒澤明 ※クレジット上は「演出」

 



○雄造:沼崎勲

彼は、あの時の僕。貧乏で目標すら無い僕。一番大事なものが、自分の手の中にある事を気付かず、人並みに性欲のある若者。でもいざ、性欲から目を逸らすと、色々なことが見えてくる。気が付けば、「素晴らしい日曜日」でしたと言うお話。

 

○昌子:中北千枝子

何故女性は、貞操を大事にしなくてはならないのか?何故男は女を欲しがり、女は拒むのか?それは、こんな休みの日に手に入れるべき物は、性欲よりも沢山あるからである。部屋でお昼までお互いの体を貪るよりもずっと充実したそれを、彼女は本能的に分かっている。彼女は、彼がそれを自分のために見つけてくれると信じ、ついて行く。

 

○与太者(ダンスホールの浮浪者):渡辺篤ロッパ一座)

○饅頭屋:中村是好エノケン一座)

男女2人が、主要な出演者であるが、この後に書いてあるエノケン、ロッパは何なのか、興味を持った。

 

エノケン・ロッパの時代

エノケンの「動き」の激しさについて、手だけで舞台の幕を駆け上る、走っている車の扉から出て反対の扉からまた入るという芸当が出来たという伝説がある。この人気に目をつけた松竹はエノケン一座を破格の契約金で専属にむかえ、浅草の松竹座で常打ちの喜劇を公演し、下町での地盤を確固たるものとした(ピエル・ブリヤント後期)。一方、常盤興行は、映画雑誌編集者であった古川ロッパ声帯模写などの素人芸に目を付け、トーキーの進出で活躍の場を失っていた活動弁士徳川夢声生駒雷遊らと「笑の王国を旗揚げさせのち松竹に所属、さらに東宝に移籍して有楽座で主に学生などインテリ層をターゲットとしたモダンな喜劇の公演を旗揚げし、「下町のエノケン、丸の内のロッパ」と並び称せられ、軽演劇における人気を二分した。」Wiki

 

 

○もう一度、自分にとって「素晴らしき日曜日」とはなんなのか、考えてみたい。こんな、障害者一級の僕にも「素晴らしき日曜日」はあるのだ。まして、健康な貴方なら…!

 

合掌